ドライアイの治療は対症療法であり、根治治療ではない!
眼の周囲の環境を整えることが治療になります。

ドライアイの治療

● 人工涙液の点眼

・ 涙液の補充として防腐剤無添加の人工涙液の頻回点眼が有効
人工涙液は1日5回位の点眼では効果は少なく、最低1日10回以上が効果 的です。筆者は22年来ソフトサンティア点眼薬という人工涙液を使用していますが、この点眼薬は防腐剤無添加ですが、わずかにホウ酸緩衝液が入っています。ソフトサンティア点眼薬が合わないという患者さんには、他の点眼をすべて中止し、ソフトサンティア点眼薬のみにすることで初めてソフトサンティア点眼薬が合わないということがわかります。22年間に副作用は5名のみです。医師になり26年になりますが、最も副作用のない点眼薬です。 使い捨てタイプの人工涙液が最もよいと思いますが、コストパフォーマンスで劣ります。

● ヒアルロン酸の点眼

・ ヒアルロン酸は水分を保つ作用と角膜上皮修復作用があります。
・ ヒアルロン酸は3時間まで角膜上の涙液を保つ作用があります。
・ 通常は防腐剤添加のものを使用しますが、防腐剤にて障害を生じやすい方には防腐剤の種類(塩化ベンザルコニウムとグルコンサンクロルヘキシジンが主なもの)の変更や、防腐剤無添加のヒアルロン酸の点眼を使用します。


ヒアルロン酸主なもの(商品名);
   ヒアレイン  点眼薬・・防腐剤:塩化ベンザルコニウム
   テイアバランス点眼薬・・防腐剤:グルコンサンクロルヘキシジン


・ ドライアイでは角結膜上皮がデリケートであり、防腐剤(いわゆる消毒薬)に非常に敏感な方が多く、注意が必要です。

● 人工涙液とヒアルロン酸点眼薬の併用は有効

・ 人工涙液のみでは水分を保つ作用が少ないため、ヒアルロン酸との併用が有効です。人工涙液で涙を補充し、それを保つためヒアルロン酸を点眼します。人工涙液を点眼し、1分間したらヒアルロン酸を点眼する方法をおすすめします。ヒアルロン酸のみでは周囲の水分を吸収するために、ドライアイでは併用が有効です(宇津見義一(宇津見眼科医院):ドライアイのコンタクトレンズ装用者におけるヒアルロン酸ナトリウム点眼と人工涙液併用点眼の臨床評価、第43回日本コンタクトレンズ学会総会、12年2月18日、山口県)。


● 涙点プラグ

 涙液の出口である涙点を塞ぎ、涙液の流出を止める。
利点;涙液不足に効果がある。
利点;シェーグレン症候群など涙液分泌の低下例によい
利点;すぐに効果が出る
利点;すぐにはずせる
利点;保険適応である

欠点;抜ける時がある
利点;合わない人もいる
利点;長期に使用すると涙点部分に肉芽形成(はれる)がおきることがある。
利点; 涙液もたまるが、分泌物などもたまる。
・ 涙点プラグ以外にも涙点を閉塞する方法は、涙点を糸でふさぐ場合や熱凝固することもあります。


● 涙液蒸発を防ぐメガネ(モイスチャーエイド)

 メガネの周囲に透明のカバーと内側に水分を含んだスポンジが付いていて眼の周囲の湿度を上げて乾燥を防ぎます。また、ドライアイ防止めがねというゴーグルのようなものもあります。